連載「My・BESTゲストハウス体験」|Hostelworld×FootPrints

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世界中のバックパッカーに愛用されている予約サイト「Hostelworld(ホステルワールド)」。この度、コラボ企画のお誘いをいただき、1カ月に1記事ずつ、全3カ月間にわたって、いただいたお題に沿った記事を執筆させていただくことになりました。

第1回のテーマは「My・ベストゲストハウス体験」です。ゲストハウスやホステルって何なの? と思っていた当時の私がはじめて出会った“とっておきの旅の思い出” について、お話していきたいと思います。

はじまりは「ゲストハウス?ホステル?何それ?」

現在国内のゲストハウス100軒近くを、巡り歩きながらお話を書き綴っている私ですが、実は巡っているのはここ5年のこと。正確には巡れなかった年もあるので3年間のことです。

5年前まで、私は旅人でもバックパッカーでもありませんでした。(いまだに荷物は、小さなリュックと雑誌の付録の小さなバックですが(笑) ←何気にミニマリスト)

2010年、広告会社に入社して2年目の頃。漫画の働きマンを実写化したような、てんやわんやの日々を送っていました。会社と一人暮らしの家との往復生活。組織という上下や左右の関係性のある暮らし。こんな日常を変えたいなーと思いながら「でもどうやって?」と思っていた頃、友人にたまたま薦められたのがゲストハウス。

当時大阪支社に勤務しており、担当は北新地の飲食広告の営業と原稿制作。東京にいる友人から「東京に先日ゲストハウスtoco.っていう場所が新しく出来たんだけど、きっとあなたに合うと思うから、良かったら行ってみて」とメッセージ。その時 “ゲストハウス” という言葉をはじめて耳にしました。

クリスマスの出

完全無知な当時24歳の私は、とりあえずそこで約3000円で泊まれるということと、どうやらタオルとパジャマは持参らしいということだけを理解して、バタバタな生活を物語るto doだらけの手帳を開いて予約を試みました。

年末近付く冬の時期、電話口から「今年はもう予約でわりと週末がいっぱいで…。ただ、12月25日ならさきほどキャンセルが出たので、お一人なら泊まれますよ!」と奇跡的なお返事。こうして、国内ゲストハウスへ向かう一人旅がはじまりました。(クリスマスぼっちの寂しい女なのか、というツッコミは各自の心の中で抑えてください)

東京上野から日比谷線で隣駅「入谷(いりや)」に下り、大都会東京のイメージとは異なる穏やかな下町。そのまちにある白い二階建ての建物が、入谷の古民家ゲストハウスtoco.です。

誰でもふらりと立ち寄れる空間のある宿

入谷駅からすぐ。toco.に到着。ガラス戸を開けると、そこはBarラウンジになっています。
宿泊者が近所で買ったごはんを食べたり、本を読んだり。それだけではなく、近隣住人がふらりと立ち寄ることもでき、夜はバーカウンターを囲んで皆楽しそうに会話を交わしています。
扉の向こうは、宿泊者専用の空間が。築90年の日本らしい古民家と大きなお庭がばーんっと広がっています。
庭の奥には「富士塚」といって江戸時代に富士山を模してひとびとの手で造られた小山もあります。

繋がり・広がる、はじまる予感 ”をくれる場所

目の前に広がる、つくり手の愛が溢れたデザイン。あたたかな空間で楽しそうにお酒とともに会話を交わす年齢も国籍も異なるひとたち。その場にいるひとりひとりの関係性を心地良く自然につなぐ、フレンドリーな運営者たち。

その場所に出会ったときの私の感情を一言でいうなら、まさに「一目惚れ」。

会社という組織で普段感じている上下や左右といった境が一切なく、普段の生活にはない非日常な空間が、日常の顔をして受け入れてくれる。そこに居ることに違和感のない、自然と居場所のある空間。

「私が出会いたかったのはまさにこの空間ー!!」と思った瞬間でした。

当時25歳の若いひとたちがその空間をつくっていることに対する親近感。普段の愛称を尋ねてくれ、「よろしく」と握手をして互いに自己紹介する新鮮さ。“今日限りの縁”ではなく“これからの縁”を大切にしてくれる感覚がとても嬉しかった。

心惹かれた一番の要因は、きっとその“これからはじまる予感”だったんだと思います。単なる「わあ!すてき!」じゃなく、繋がっていくもの・広がっていくもの、それらの心躍る予感に。

コンセプト「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」

その日、仲良くなったゲストのひとたちも様々で、福岡から来た30代の男性や、同い年の助産婦の女の子。台湾やヨーロッパから来た一人旅や二人旅のひとたち。

はじめましてなのになんだかすぐ打ち解けて、そのまま宿おすすめの油そば屋さんへ行ったり。普段の暮らしぶりは皆バラバラなのに「宿泊」という感覚が距離感を縮めてくれました。

次の日の朝、「昨日はどうも」と「はじめまして」の宿泊者で囲む食卓もなんだか新鮮な気持ちで、当時女将のみやさんがつくってくれたおにぎりとお味噌汁もとっても美味しくて。なんだかずっと前からここに皆で暮らしているような不思議な安心感。

なんて境界線のない居心地の良い空間なのだろうと思い、帰宅後改めて知ったのは、この場所のコンセプトが「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」であること。言葉じゃなくて体感でコンセプトをここまで伝えられるのって本当にすごい…と痛感しました。

朝食は、Barラウンジとはまた別の場所で。朝の心地良い空気のなか、美味しいお味噌汁や緑茶が沁みわたります。

とりあえず何かはじめてみる

ホクホクした感動で心は満たされきっていたものの、流石に今の仕事をほっぽりだして、私も明日からゲストハウスやりたーい!なんて言ったらそれは私には“逃げ” でしかないと思い「今の会社で3年以内に結果を出して、もらう側から贈る側になるんだ!」と決意をしました。

そして、「今の私にできることとして、週末は国内のゲストハウスを巡り勉強していこう。どうせなら自分の備忘録をブログとして公開していったら、1mmでも誰かの役にもなるかもしれない。」そんなシンプルな気持ちで、このゲストハウス紹介サイトの前身となるブログがスタートしました。

でっかい口を叩けば未来へのウンタラですが、簡単にいうと、とりあえず何かはじめたかった。もらった気持ちの熱が冷める前に、ささやかでもいいから何か形にしておきたかったんです。というわけで2011年1月1日、元旦から開始。(やっぱり寂しい女だというツッコミなんざ、どんとこい!)

最初の決意「いつか贈る側になりたい!」は、原点の思いを再確認するにつれて、「ゲストハウス開業」ではなく「その魅力を伝える者」という媒介の立ち位置に変わり、たっぷりとした紆余曲折がありながらも、5年経つ今もサイトとして続けています。

本気の一目惚れが溢れる世の中を

あの一目惚れ体験がなければ、きっと今の私は存在していない。そう思うと、あのクリスマスの日は、私の一番の“Myベストホステル体験”です。

世の中が、本気の一目惚れに溢れたら良い。それが一目惚れに終わらずに、ずっと本気になれば良い。そして、誰かの足跡が別の誰かの足跡(=前進)に繋がれば、なお良い。あの日に思いを馳せながら、改めてそんなことを考えています。

あなたにとって、一番の一目惚れ体験は何ですか?もしまだその答えに迷うようであれば、一度今の環境を離れて、上下左右の境界線のない場所へポイッと身を置いてみるのも良いかもしれません。

どこに行ったらいいの? の検索はFootPrintsでも良いですが、当サイトは予約ができないので、たくさんある中からいっぱい選びたい&そのまま予約したーい!という時は、ゲストハウスやホステルが探せる予約サイトHostelworld(ホステルワールド) は純粋におすすめ。世界観が広がり、思わず世間を狭く感じてしまえる、素敵な“はじまる予感”がありますこと願っています。

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